妥協案としての景色
最近ずっと気持ちが落ち込んでいる。
仕事のやる気がでなくて、やるべきことにもなかなか手をつけられないでいる。
私はこういう状態が長く続いたとき、海を見にいくことにしてる。海は私に比べてあまりに雄大で、海を見ているだけでなんとなく気持ちが落ち着くから。
昨日、不意に海を見たいと思った。あまりにも唐突にそう思うから、これはきっと自分なりの精神的なSOSなのだと思う。
普段海を見に行くときは、最寄り駅から東京駅にでて、東海道線で熱海方向を目指す。目的地は気分で、茅ヶ崎や大磯、そのまま熱海まで行くこともある。
ただ海を見るだけなら、実は家からそう遠くはない。東京にも海はある。
でもあいにく、私が見たいのは東京のビルに囲まれた海じゃない。
昨日、私が海を見たいと思った時刻はお昼を過ぎた14時。これから海を見に行くには時間がやや遅い。
準備をして到着する頃には、おそらく日が落ちかけている時刻。
行くかどうか悩む。が、流石に今回は諦めた。
でもこの鬱屈した気持ちをそのままにはできない。
海を諦めた私は妥協として「多摩湖」に行くことにした。
東京に暮らして20年以上、名前だけは知っていたけど一度も訪れたことがない場所。
海と比べると明らかにスケールは落ちる。でも、このままなにもしないよりかはきっと良いはず。そんな想いだけで家を出た。
国分寺駅から西武多摩湖線に乗り、終点、多摩湖駅まで約15分。車内の乗客の9割は西武ライオンズファンで、結局、多摩湖駅で改札を出たのは私ともう一人の女性だけだった。
改札を出る。
眼前に広がるのは結構な高低差がある階段。(どこかにエレベーターがあったのかもしれないけど、足腰の悪い人には結構辛いと思った。)
階段を登り、そこからGoogleMapでなんとなくの方向を確認して、多摩湖方向に歩いてみる。横断歩道を渡って3分ほどですぐに多摩湖についた。
うん。
予想通り、いや正直に言えば予想以上に、私が想像していたよりも多摩湖は小さくショボかった。
少なくとも雄大ではないし、反対側の景色はただの住宅街だ。
でも、ほんの少しだけ、来てよかったなと思えた。
多摩湖は私が期待していたほど雄大でもなかったけれど、風は涼しくて気持ちが良かった。
そして今日も変わらず、気持ちは落ち込んだまま。
でも昨日、妥協案とは言え海を見たいと思った自分をそのままにしなかったことは、きっと自分にとっていいことだったはず。